「不動産投資を考えているが、初期費用はどのくらいかかるのだろう」
「初期費用を安く抑えて不動産投資を始めるには?」
家賃収入や売却益を目指す不動産投資をするには、不動産購入で生じるさまざまな初期費用を知っておくことが大切です。
ただ、初めて不動産投資をする場合、何にどのくらいの初期費用がかかるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事は、不動産投資の初期費用の内訳と、安く抑えるポイントを紹介します。投資物件の頭金や各種手数料をはじめ、日常生活では馴染みのない費用がかかる場合がありますので、しっかりとチェックしておきましょう。
ローンを利用する場合に必要な自己資金は、購入したい不動産物件の価格によって異なります。
全額ローンで購入する場合もあるにはありますが、自己資金は頭金や不動産会社に支払う手数料などに当てるのが一般的で、その割合は物件購入価格の8%〜10%です。
例えば、3,000万円のマンションをローン購入して不動産投資をスタートするなら、240万円から300万円が初期費用に掛かると思っておきましょう。
不動産投資の初期費用には、主に以下の5つがあります。
ひとつずつ詳しく解説していきましょう。
購入物件の頭金は、初期費用の大きな割合を占めます。物件購入に必要な不動産価格のうち、ローンで充当する以外の金額を自己資金から支払うものです。
「自己資金がいくらくらいあるのか」「頭金にどのくらい用意できるか」といった点は、融資を受ける際の判断材料にもなるため重要なポイントと言えるでしょう。
なお、頭金は物件価格の10%から20%が相場といわれています。
ただし、購入予定の不動産の担保価値や、融資申込者の信用情報などの影響も受けるので覚えておきましょう。
ローンを利用する際に金融機関に支払う費用で、主に「融資事務手数料」と「融資保証料」の2つです。
まず融資事務手数料とはローン手続きに必要な手数料のことで、定額型と定率型の2種類があります。
定額型は借入金額に関わらず金融機関が定める手数料を支払うタイプで3万円から10万円が相場です。
一方で、定率型は一定割合の手数料を支払うタイプで借入金額の1%から3%程度が相場になります。
次に融資保証料とは、融資契約する方が保証会社と保証契約を結ぶ際にかかる費用のことです。
支払いに方法によって以下の2つの種類に分類されます。
l ローンの契約時に一括で保証料を支払う「一括前払い型」
l ローンの契約時の金利に保証料を上乗せされて支払う「金利上乗せ型」
ちなみに、融資保証料は上記の支払い形式や融資条件、金融機関によって異なりますが、借入金額の1%~2%程度で設定されることが多いです。
例えば、借入金額が1億円の場合は、100〜200万円の保証料がかかります。
このように融資を受ける場合にも、多額の費用がかかることを理解しておきましょう。
不動産物件を購入したら、法務局で登記申請を行う必要があります。
登記手続きは自身でも可能ですが、専門的な知識を使って必要書類をまとめなければならないため、個人で手続きするケースは少なく、通常司法書士に依頼するのが一般的です。
したがって、登記費用の主な内訳には司法書士への報酬が含まれます。
ちなみに、他に必要なのは、所有権や抵当権の移転時に発生する登録免許税です。
金額としては、司法書士への報酬額は一般的に10万円から15万円程度が必要で、登録免許税額は以下の計算式で算出されます。
登録免許税額=登記する不動産物件の固定資産税評価額(または法務局認定評価額)×登録免許税の税率
登録免許税の計算では、実際の不動産の購入価格ではなく固定資産税評価額(または法務局認定評価額)を使用しますので覚えておきましょう。
なお、登録免許税の税率は以下の表の通りです。
◆ 登録免許税の種類と各税率表
登記の種類 |
税率 |
土地の売買による所有権移転登記 |
2% |
建物の売買による所有権移転登記 |
2% |
所有権の保存登記 |
0.40% |
抵当権設定登記 |
0.40% |
出展:国税庁
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産のうち「土地の売買による所有権移転登記」をする場合は、以下の計算です
固定資産税評価額1,000万円×税率2%=登録免許税額200,000円
上記の場合の登録免許税額は200,000円です。
火災や地震などで投資物件が被災したときに備えて、不動産投資では火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。
ただし、火災保険はローンを利用する際に加入が前提となるため多くの方が加入しますが、地震保険はそういった制限がないため、必ずしも加入しなければいけないわけではないので覚えておきましょう。
ちなみに、火災保険料や地震保険料は、運用する不動産の構造や地域などによって様々です。
例えば、木造建より鉄骨や鉄筋建などの耐震構造のレベルが高いほうが、保険料が安くなるといった傾向があります。
こうした保険は初期費用とともに固定費にもなるため、保険料と補償内容のバランスを考えて商品選びをすることが大切です。
不動産会社に投資物件の売買を依頼すると、仲介手数料の支払いが生じます。仲介手数料は不動産会社の報酬になり、利用する会社によって手数料の料率は様々です。
ただし、仲介手数料は、不動産取引のルールを定めた「宅地建物取引業法」において次の表の通り上限が定められています。
◆ 不動産売買時の仲介手数料の上限表
売買される取引価格 |
仲介手数料の上限料率 |
200万円以下 |
5.5% |
200万円超~400万円以下 |
4.4% |
400万円超 |
3.3% |
出展:国土交通省
なお、取引する物件によって上の表の上限料率が適用されない場合もあるので注意して下さい。
不動産購入にともない、印紙税や不動産取得税などの諸税が必要です。
印紙税は不動産取引で紙の契約書を交わす際に発生する税金で、売買される契約価格が1万円以上の場合、金額ごとに以下の表のように定められています。
◆ 印紙税額表(不動産譲渡契約書)
契約書の記載金額 |
印紙税額(2024年3月31日までの軽減税率) |
1万円以上10万円以下 |
200円 |
50万円以下 |
200円 |
100万円以下 |
500円 |
500万円以下 |
1,000円 |
1,000万円以下 |
5,000円 |
5,000万円以下 |
10,000円 |
1億円以下 |
30,000円 |
5億円以下 |
60,000円 |
出展:国税庁
一方で、不動産取得税は不動産購入時に発生する税金です。
不動産取得税額の計算では、登録免許税と同じく固定資産税評価額を使います。
具体的な不動産取得税額の計算式は以下の通りです。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 標準税率4%
なお、2024年3月31日までは特例税率3%が適用されます。
例えば、特例税率の期限までに固定資産税評価額2,000万円の土地を購入した場合は、以下の計算です。
固定資産税評価額2,000万円×特例税率3%=不動産取得税額600,000円
上記の場合、不動産取得税額は600,000円になります。
精算金とは固定資産税や都市計画税といった諸税のほか、投資物件を維持するために必要な管理費や修繕積立金などが含まれます。
こういった税金や費用は、不動産価格によって異なること、日割りで計算される場合が多いことなどから、具体的な金額はケースバイケースです。
不動産投資の初期費用を抑えるためには、次の3つのポイントを意識することが大切です。
それぞれ重要なので忘れずチェックしておきましょう。
頭金を見直すことで初期費用は安くなります。自己資金が限られる場合でも、頭金を減らせば不動産投資に最適なタイミングでスタートすることが可能です。
ただし、頭金を減額すると融資審査に影響する場合があり、長期的にローンの返済の負担が大きくなる可能性があるので注意しましょう。
不動産会社に支払う仲介手数料や司法書士の報酬は、値引き交渉で下げられる可能性があります。
税金や保険料などと違い、仲介手数料や報酬は金額の上限や相場はありますが、下限と設けられていないためです。
複数の不動産会社や司法書士に問い合わせて金額を比較するのはもちろんのこと、積極的に減額できないか話を持ちかけて、少しでも初期費用を抑える努力をしましょう。
購入を希望する物件を見直すことで初期費用を抑えられる場合があります。
予算が膨らみそうなら「新築ではなく中古を探してみる」「構造や所在地など物件の条件の幅を広げてみる」など視点を変えると、自己資金が少ない場合でもスムーズな運用が可能です。
不動産投資を始めるには、頭金をはじめ各種手数料や税金など、初期費用でまとまった金額が発生します。
たまに不動産投資ローンを利用するから必要ないと考えている方もいますが、多くの場合である程度の自己資金が必要になります。
このため、初期費用としてどのようなお金が必要なのか、ひとつずつ把握することが大切です。
この記事では不動産投資を始める際の初期費用について詳しく解説していますので参考にして下さい。