大家業は江戸時代から続く、伝統的な職種のひとつです。資格や免許を必要としないので、誰でも簡単に始められますが、勝手がわからず失敗する方もいらっしゃいます。
大家業の仕事内容や始め方はもちろん、失敗しないために持っていた方が望ましい資格も、あわせて解説しましょう。
大家業とは、アパートやマンションなどの不動産賃貸により、収入を得る仕事を指します。「オーナー」「家主」と呼ばれることもあるでしょう。毎月の家賃収入が、経営の柱です。
礼金や更新料も大きな収入源。いずれにせよ、とにかく入居者がいなければ始まらない職業なので、いかにして常時満室の状態をキープするかが、経営のポイントになるでしょう。
○入居者に関連する仕事
○物件の維持・管理に関連する仕事
大家業の仕事内容は、以上2つに分けられます。
○毎月の家賃回収
○滞納者への督促
○入居者同士のクレーム対応
これらが入居者に関連する仕事ですが、クレーム対応は大家業の業務の中で、もっとも厄介かもしれません。
○共用部分の清掃
○空き部屋の管理
○外装や設備の修繕・修理
○大規模リフォーム
共用部分の清掃のように日常的に行う業務から、大規模リフォームのように10年に一度の業務まで、大家業に課せられるメンテナンス業務は広範囲。北海道の場合、共用部分の「雪かき」という、重労働も含まれます。
①物件探し
②売買契約
③入居者募集
以上3段階が、大家業の始め方としては基本的な流れです。
②について、1点補足します。大家業を始めるにあたり、適当な物件を見付けたら不動産管理会社と売買契約を結びますが、自己資金が足りない場合には、銀行とローン契約を結ばなければなりません。頭金も必要になるでしょう。
ご自分が所有する物件を賃貸に出すのでなければ、それなりの資金が必要になるのです。
大家業を始めるにあたり、必要な資格や免許はありません。資格や免許を取得するため、所定の機関に研修のため通う必要がないので、登別・室蘭・伊達・白老・壮瞥・洞爺……どこに住む方でも、誰でも割と簡単になれます。
ただし、大家業の安定や成功のためには、持っていた方が望ましい資格がいくつかあるので紹介しましょう。
いわゆる、「宅建士」の資格です。賃貸借契約や税金関係など、資格を取得するために学ぶ知識がそのまま大家業に活かせるのが、おすすめポイント。特に、契約時に欠かせない「重要事項説明」は、宅建士にのみ許可された独占業務なので、実務で非常に役立ちます。
宅建士と同様に取得過程で学ぶ、不動産の売却に関する法令上の規制、税金や契約に関する知識が、業務に役立つでしょう。収支バランスの見極めといった経営感覚が身につくのも、おすすめポイントです。
マンションの維持や管理に関連して実務的な提案をする、コンサルティング業務ができる資格ですが、大家業を安定させるなら、自分で持っているに越したことはないでしょう。
マンションやアパートには不特定多数の人間が集まるので、住民同士のトラブルが避けられません。マンション管理士としての実務的なコンサル知識が、大いに役立つはずです。
大家業に向いているのはズバリ、「(ある程度の)お金持ち」や「物件を所有している人」。初期段階において、借金を背負うリスクが回避できるからです。
賃貸価格は社会情勢の影響を強く受けるので、日頃からの情報収集に長けている必要もあります。住民同士のトラブルを解消するために、コミュニケーション能力(特に調整能力)は高い方が、望ましいかもしれません。
資格や免許が必要とされないので、大家業は始めるにあたってハードルが低い職種かもしれませんが、実際には、始めた後が大変な仕事です。収支管理やトラブルシューティングに関連した、適切な資格を取得しようとする「向学心」が必要になるでしょう。