戸建賃貸とアパート賃貸、経営するならどちらがよいのでしょう。一戸建てとアパートの賃貸経営における、それぞれのメリットやデメリットを解説します。それぞれどのような方が向いているのかも、あわせて解説しましょう。
○入居者を見つけやすい
○入居者対応が楽
○入居者に家を売却できる可能性がある
貸し出す相手が一家族に限定されるため入居者を見つけやすく、入居後の対応も楽に済みます。賃貸契約終了後、入居者に物件をそのまま売却できる可能性もあるでしょう。
○固定資産税と都市計画税が安くなる
○相続税対策として有効
○投資効率が良い
アパートを賃貸経営するメリットは、固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1にまで、それぞれ減ることです。資産としてアパートを所有している場合、賃貸に出すことで税金対策になります。
相続人から土地を受け継いだ場合に限定されますが、相続税対策としてもアパート賃貸は有効。相続した土地の中にアパートやマンションを建築し、なおかつ第三者にその物件を貸し出した場合、相続税が大幅に軽減されるからです。
戸建賃貸に比べて複数の入居者から家賃収入を得られるので、投資効率が良いのもメリットでしょう。
○リスクを分散できない
○自由度が低い
戸建賃貸に入居者がいなくなった時点で、収入が途絶えます。複数の入居者を募集できないので、リスクを分散できません。
一度賃貸に出すと、借主からの更新の申し出を貸主が断ることは、原則としてできなくなります。戸建賃貸は、経営における自由度が低いと言えるかもしれません。
○大規模な修繕工事が必要
○入居者同士のトラブルの対応に忙殺される
アパートには10~15年に1度のペースで、大規模な修繕工事が必要になります。工費が100万円単位になるのも、珍しくありません。戸建に比べて戸数が多いため、必然的にこまごまとした修繕の機会も増えます。つまり、ランニングコストがかかりやすいのです。
アパート賃貸において、騒音問題などの入居者トラブル対応は、どうしても避けられません。トラブル対応に忙殺されると言っても、過言ではないでしょう。対応を誤ると入居者の退去にもつながり、経営を圧迫しかねないのが非常に厄介です。
戸建賃貸の経営に向いているのはズバリ、「転勤族」。せっかく購入した一戸建てを転勤で手放すのは、経済的にも痛手になる可能性がありますし、何より、精神的にもかなりの苦痛でしょう。
購入した一戸建てを売却するよりも賃貸に出した方が、将来的に再び暮らせる芽が残ります。継続的な収入源になるのも、大きいでしょう。
ここで1点、アドバイスを。
賃貸に出した一戸建てに、将来的には戻ることを強く念頭においている場合、「定期借家契約」を結ぶとよいでしょう。定期借家契約とは、契約期間の満了によって賃貸借関係が、確定的に終了する借家契約です。
“故郷である登別市富岸町を終の棲家と決めて一戸建てを購入したものの、突然の転勤命令で札幌へ引っ越すことに。やむをえず一時的には賃貸に出すものの、将来的にはもう一度戻って来て暮らしたい。”
例えばこのような場合には、借主と定期借家契約をすればよいのです。
転勤などの理由により、持ち家を(一時的にでも)手放す必要性が生じたら戸建賃貸の経営を、不動産資産として節税効果を期待するならアパート賃貸の経営を、それぞれおすすめします。