日本では「空き家問題」「空き地問題」が、深刻な社会問題になっています。空き家・空き地問題とは何か、空き家や空き地をそのままにしておくと、どのようなトラブルが発生するのか、空き家巡回サービスとは何かについて、それぞれ解説しましょう。
空き家・空き地問題とは?
空き家・空き地問題(以降「空き家問題」で統一)とは、何らかの理由により住む人がいなくなった家や土地の、管理に関する諸問題を指します。実家で暮らす親が亡くなったのに、子ども(相続人)が離れて暮らすため、空き家の管理ができない場合が多いようです。
2020年に総務省が発表したデータによれば、2018年における空き家は全国に約800万戸(※1)。これは、全住宅数の13%以上にのぼります。日本の住宅の8軒に1軒は、空き家なのです。
空き家問題が、日本において社会問題化して久しいのは、皆さんもご存知の通りです。国は2014年、「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家法)」を制定し、対策に乗り出しました。
登別市でも、空き家問題は深刻化しているようです。市の実態調査によれば、2016年から空き家問題についての相談件数が増え始め、2018年には年間78件の相談が寄せられたとのこと。特に、鷲別・幌別の両地域で問題が顕著なようです。(※1)。
空き家を放置すると、どのようなリスクがあるのか。その対策も含めて解説しましょう。
※1.参照元:登別市空家等対策計画
○建物
○ご近所関係
○治安
○景観
空き家のままにしておくと、以上4点においてトラブルが発生しかねません。それぞれについて、誘発するリスクと具体例を簡単にまとめてみました。
誘発するリスク |
具体例 |
建物の老朽化 |
倒壊 災害時における外壁や窓ガラスの飛散 |
ご近所トラブル |
雑草などの越境 害虫の発生 異臭 |
治安の悪化 |
放火や失火 不法投棄 犯罪活動の温床(違法集団のアジト、麻薬取引など) |
景観への悪影響 |
お化け屋敷化 |
もう1点。空き家をそのままにしておくと、自治体から「特定空き家」に指定され、最大6倍もの固定資産税が、相続人に請求される可能性があります。空き家と空き地を放置するのは危険なだけでなく、損失をもたらしかねません。
定期的な巡回や点検が、重要なのです。
民法により、空き家所有者には「工作物責任」が課せられます。工作物責任とは、「たとえ意図的ではないにせよ、工作物(この場合空き家を指す)が他人に危害や損害を与えた場合、その責任は所有者に存在する」ということです。
例えば、台風で空き家の屋根が吹き飛び隣家の壁や窓を損壊した場合、その責任は空き家の所有者にあるので、損害賠償請求の対象になります。
家は人が住んでいないだけで、老朽化が早まります。
○修繕されない
○掃除されない
○換気されない
これら3つが、主な原因です。最悪の場合、地震などで倒壊する危険性すらあります。修繕や掃除はともかく、換気と老朽化にどのような関係があるのか、不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。
空き家は人の移動による空気の対流が、一切起こりません。湿気が室内にこもり、カビが繁殖しやすいのです。登別や室蘭は、アパートを筆頭に木造住宅が多い地域ですが、湿気やカビは木を腐植させる原因にもなるので、適切な管理が特に必要な地域でしょう。
○ガス漏れ
○配線の劣化によるトラブル
このような理由により、空き家は火災が発生しやすいとされます。ガス漏れや配線の劣化に、気付く人がいないためです。
空き家の火災原因としてもうひとつ、放火のリスクも挙げられます。
○人の気配がない
○燃えやすいものが散乱している
○道路から敷地内がのぞきやすい
このような理由により、空き家は放火のターゲットになりやすいのです。
空き家は部位が痛みやすく、傷んでも修繕する人がいませんから、台風などによってガラスや屋根が飛散する可能性が高まります。飛散したガラスや屋根が隣家を損傷したり、通行人を直撃したりするケースが、現実にあるのです。
木の枝や雑草が繁殖し害虫が発生する
空き家の敷地内で繁殖した、木の枝や雑草が隣家の敷地内に入り込み、トラブルに発展するケースがあります。何より、雑草はヤブ蚊やハチの発生源。北海道でも夏場は30度を超えます。これらの害虫が発生すれば、近隣住民もうかつに窓を開けられなくなるでしょう。
空き家はシロアリが発生しやすく、空き家の倒壊を促進する原因にもなりますが、近隣の家にエサを求めて移動する習性があるのが厄介。空き家でエサを食べつくしたら、次は隣の家へと移動するため、近隣住民に実害をもたらしかねません。
空き家のまま放置され続けると、外観が悪くなります。不思議なことに外観が悪い建物は、「ここならゴミを捨てても大丈夫だろう」という気分に、人をさせやすいのです。ゴミを不法投棄される、格好のターゲットになってしまいます。
空き家があると、建物自体の外観だけでなく周辺の景観が悪くなり、近隣不動産の価値を劣化させます。日本では劣化が著しい空き家を「ゴミ屋敷」と呼びますが、皆さんもゴミ屋敷周辺の家には、あまり住みたくはないはずです。
税金の負担増には要注意!
空き家を放置すると、税金の負担が急激に増すデメリットもあります。「特定空き家」に指定されるからです。
特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除されるので、納税額が最大で6倍にまで激増します。行政代執行(行政による空き家の強制解体処分)をされると、解体費用が所有者に請求される点にも注意が必要です。
空き家をそのまま放置していると、所有者の金銭的な負担が増すのは、ほぼ間違いないでしょう。
空き家や空き地を管理したくても、さまざまな理由により叶わない方が大勢いらっしゃるでしょう。そのような方々にお力添えをするために、空き家巡回サービスを提供する不動産会社が増えています。
空き家巡回サービスとは、不動産会社が定期的に空き家を巡回し、必要な管理を行うサービスです。
○建物(敷地)内外の目視点検
○雑草処理やゴミ拾い
○室内の換気や清掃
○除雪
○ご近所対応
これらが主なサービス内容です。巡回後には、実施報告書を提出します。
当社でも、空き家巡回サービスを実施しております。詳しくは、こちらまでお問い合わせください。