親のアパートを相続すると、経営を引き継ぐのか売却するのか、判断を迫られます。
○親のアパートを相続した際まずやること
○アパート経営を引き継ぐ理由になりうるケース
○売却した方が無難なケース
○アパート相続時における注意点
親から相続したアパートについて、以上のポイントを解説します。
○ローン残債の有無の確認
○遺産分割協議(ならびに名義変更)
親のアパートを相続したら、アパートが資産なのか負債なのかを真っ先に確認しましょう。
つまり、「ローン残債の有無」を確認してください。アパート経営を引き継ぐにせよ売却するにせよ、ローン残債の有無が与える影響は極めて大きいからです。
ローン残債の有無を確認した上で、遺産分割協議に基づき名義変更をしてください。トラブルの種を未然に摘むためです。名義変更の後、経営を引き継ぐのか売却するのか、検討するとよいでしょう。
○収支がプラスになる見込みが高い
○築年数が20年未満
以上のような要因は、アパート経営を引き継ぐ理由になりうるでしょう。
○アパートの賃料収入>経営における諸経費
経営収支がプラスになるためには、上記の大小関係が成立していなければなりません。
○入居率が常に90%を超える
○ローン残債がない(少ない)
○しばらくの間大規模な修繕が必要ない
経営収支がプラスになると見込むためには、たとえば、以上のような条件を満たす必要があるでしょう。
一般的に築年数が20年を超えたあたりから、アパートには修繕が必要になります。大規模な修繕だと、100万円単位の予算が必要です。築年数が古いと、入居者が集まりにくいのも難点。
逆に言えば、築年数が20年未満だと、アパートとしては賃料収入が見込める可能性があるとも言えるでしょう。
○収支がマイナスになる見込みが高い
○相続税の金額が大きい
○遺産分割協議で揉める可能性が大きい
以上のようなケースでは、アパートを売却した方が無難かもしれません。
○アパートの賃料収入<経営における諸経費
上記の大小関係が成立すれば、収支はマイナスになります。
○入居率が低い
○ローン残債が多い
○築年数が古い
たとえば、以上のような条件がいくつか重なり、収支がマイナスになると見込まれる場合には、アパートを売却した方がよいかもしれません。
登別・室蘭エリアの場合、長年続く人口減少傾向の影響で、アパートの経営環境も厳さを増しています。エリア内における家賃の賃貸相場は、3~4万円程度です(※)。アパートの戸数に3万円をかければ、毎月得られる最低限の賃料収入が想定できるでしょう。
エリア内のアパートは木造建築が多く、こまめな修繕が必要なケースが多いのも特徴です。マイナス収支が見込まれる場合、無理に経営を引き継がない方が賢明なのかもしれません。
※参照元:LIFULLHOME’S「登別市の家賃相場や空室率」
親が亡くなってから10ヶ月以内に、相続税を申告・納税しなければなりません。相続税の金額が大きく自己資金でまかなうのが難しい場合、アパートを売却して相続税に充てた方が無難かもしれません。
アパートは建物なので、現金のように単純な割り算で分割するのは難しい遺産です。遺産分割協議で揉める可能性が大きいと予想される場合、アパートを売却して現金化した方が後腐れはないかもしれません。
一応、共有名義でアパート経営をつづける選択肢も、あるにはあります。
共有名義とは、複数の相続人がそれぞれの相続割合に応じて、不動産を共同所有することです。しかし、共有名義によるアパートの共有分割は権利関係が複雑で、後々トラブルに発展することも珍しくないので、あまりおすすめできません。
○相続登記はお早めに
○ローンの引き継ぎができるか確認する
アパートを相続した時には、以上2点について特に注意してください。
アパートを相続した際には、3年以内に相続登記(名義変更)をしなければなりません。遺産分割協議書や登記申請書を作成したり、戸籍謄本を取り寄せたりと、相続登記にはかなりの手間がかかります。
10万円前後の費用はかかりますが、相続登記は司法書士にお任せした方が楽かもしれません。
ローンの残債は相続人が引き継ぎますが、その際金融機関に相続人の返済能力が審査されるのは、割と盲点です。相続人の信用情報に問題がある場合、ローンを引き継げない可能性があります。
ローンを引き継げなければ、アパート経営を続けるか売却するかの判断にも、重大な影響を及ぼすはずです。遺産としてアパートが残った際には、できるだけ早い段階で金融機関に引き継ぎの可否について、確認・相談するようおすすめします。