空き家をそのままの状態で放置し続けても、所有者にとって何ひとつメリットがありません。デメリットだらけなのです。空き家は、近隣住民とのトラブルをもたらす元凶と言っても、過言ではないかもしれません。
空き家を放置すると、所有者にはどのようなデメリットがあるのでしょう。
例えば、ご両親が住んでいた実家が時間の経過とともに空き家になった場合、処分するのは気持ちの面でも難しいかもしれません。しかし、空き家を放置し続けると、以下のような「空き家問題」が、現実に発生します。
家は人が住んでいないだけで、老朽化が早まります。
○修繕されない
○掃除されない
○換気されない
これら3つが、主な原因です。最悪の場合、地震などで倒壊する危険性すらあります。修繕や掃除はともかく、換気と老朽化にどのような関係があるのか、不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。
空き家は人の移動による空気の対流が、一切起こりません。湿気が室内にこもり、カビが繁殖しやすいのです。登別や室蘭は、アパートを筆頭に木造住宅が多い地域ですが、湿気やカビは木を腐植させる原因にもなるので、適切な管理が特に必要な地域でしょう。
○ガス漏れ
○配線の劣化によるトラブル
このような理由により、空き家は火災が発生しやすいとされます。ガス漏れや配線の劣化に、気付く人がいないためです。
空き家の火災原因としてもうひとつ、放火のリスクも挙げられます。
○人の気配がない
○燃えやすいものが散乱している
○道路から敷地内がのぞきやすい
このような理由により、空き家は放火のターゲットになりやすいのです。
空き家は部位が痛みやすく、傷んでも修繕する人がいませんから、台風などによってガラスや屋根が飛散する可能性が高まります。飛散したガラスや屋根が隣家を損傷したり、通行人を直撃したりするケースが、現実にあるのです。
空き家の敷地内で繁殖した、木の枝や雑草が隣家の敷地内に入り込み、トラブルに発展するケースがあります。何より、雑草はヤブ蚊やハチの発生源。北海道でも夏場は30度を超えます。これらの害虫が発生すれば、近隣住民もうかつに窓を開けられなくなるでしょう。
空き家はシロアリが発生しやすく、空き家の倒壊を促進する原因にもなりますが、近隣の家にエサを求めて移動する習性があるのが厄介。空き家でエサを食べつくしたら、次は隣の家へと移動するため、近隣住民に実害をもたらしかねません。
空き家のまま放置され続けると、外観が悪くなります。不思議なことに外観が悪い建物は、「ここならゴミを捨てても大丈夫だろう」という気分に、人をさせやすいのです。ゴミを不法投棄される、格好のターゲットになってしまいます。
空き家があると、建物自体の外観だけでなく周辺の景観が悪くなり、近隣不動産の価値を劣化させます。日本では劣化が著しい空き家を「ゴミ屋敷」と呼びますが、皆さんもゴミ屋敷周辺の家には、あまり住みたくはないはずです。
空き家を放置すると、税金の負担が急激に増すデメリットもあります。「特定空き家」に指定されるからです。
特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除されるので、納税額が最大で6倍にまで激増します。行政代執行(行政による空き家の強制解体処分)をされると、解体費用が所有者に請求される点にも注意が必要です。
空き家をそのまま放置していると、所有者の金銭的な負担が増すのは、ほぼ間違いないでしょう。