2021年に実施された登別市の地域福祉に関するアンケートから、登別市民の暮らしを見てみましょう。引用・参照するデータは本来、登別市のまちづくり計画の一環のため実施されたアンケートですが、非常に示唆に富む結果になっています。
※引用・参照元:
第3期登別市地域福祉計画別冊「登別市の地域福祉に関するアンケート結果」
https://www.city.noboribetsu.lg.jp/docs/2016040100028/file_contents/ziliao.pdf
この記事で引用・参照する、「登別市の地域福祉に関するアンケート結果」の概要は、以下の通りです。
○実施対象:登別市内在住の20歳以上の男女3,000名
○調査対象の抽出方法:令和3年6月末時点の住民基本台帳から、20歳以上の市民を無作為に抽出
○調査期間:令和3年7月22日 ~ 令和3年8月11日
○回答状況:配付数3,000 件、回収数 1,147件(回収率38.23%)
Q:あなたのお住まいは?(小学校の学区で回答)
学校区 |
割合(%) |
登別 |
10.7 |
幌別 |
4.4 |
幌別東 |
12.4 |
幌別西 |
16.5 |
青葉 |
9.2 |
富岸 |
18.4 |
若草 |
19.3 |
鷲別 |
8.0 |
無回答 |
1.1 |
若草・富岸・幌別に住む方の割合が多いことがわかります。繁華街近郊やイオン周辺といった、生活の利便性が高いエリアに約70%の市民が暮らしているようです。なお、土地代データ比較サイト「土地DATE」による、登別の地価ランキングベスト3は以下の通り。
1位:鷲別(2万5,266円/㎡)
2位:幌別(1万8,3006円/㎡)
3位:登別駅(6,150円/㎡)
※引用元:土地DATE「登別市の土地代データ」
Q:あなたのご職業・就業形態は?
形態 |
割合(%) |
正社員・正職員 |
22.8 |
派遣・契約社員 |
4.3 |
自営業、自由業 |
5.0 |
アルバイト、パートタイム |
13.8 |
学生 |
0.7 |
家事専業 |
16.3 |
無職 |
33.4 |
その他 |
2.4 |
無回答 |
1.3 |
アンケートの性質(回答者の無作為抽出)から、無職と回答した方の多くは、高齢者と推測されます。総務省の統計によれば、2022年における正規雇用者(≒正社員・正職員)の割合は63.3%(※)。登別における正社員の割合は、全国平均をかなり下回るようです。
※参照元:総務省「労働力調査」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf
Q:登別は住みやすい?
回答 |
割合(%) |
住みやすい |
29.5 |
普通 |
64.3 |
住みにくい |
5.8 |
無回答 |
0.5 |
「住みやすい」と「普通」を合わせると、90%以上の登別市民が、住みやすさにあまり不満を抱いていないことがわかります。
少し時期はズレますが、2013年に国土交通省が実施した調査では、居住地域での暮らしに不満を持つ方の割合が約20%(※)。市民が感じる登別の住みやすさは、全国平均を大きく上回るようです。
※参照元:国土交通省「住生活総合調査結果」
Q:登別市に居住して何年?(一度離れた場合は延べ年数で回答)
年数 |
割合(%) |
5年未満 |
7.4 |
5年以上10年未満 |
6.0 |
10年以上20年未満 |
9.9 |
20年以上 |
69.7 |
無回答 |
7.0 |
20年以上登別に暮らす方の割合が約70%。これは、前問の結果(登別は暮らしやすい)を裏付けるデータと言えるでしょう。参考までに、京都市における所有形態別にみた平均居住年数は、以下の通りです(※)。
○戸建て・持ち家:19.4年
○分譲マンション:10.7年
○借家・賃貸住宅:8.4年
京都市と登別市は都市としての規模が違うので、単純に比較することはできません。しかし、同じ日本国内の都市ですから、傾向にはある程度の共通点があるはずです。
20年以上登別に暮らす方の多くは、「戸建て・持ち家」と推測することができるでしょう。
※参照元:生存時間モデルによる所有形態別居住年数分布推定
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00039/200806_no37/pdf/326.pdf
Q:日常生活の不安は?(3つまで回答可)
項目 |
割合(%) |
自分の健康のこと |
20.7 |
家族の健康のこと |
20.0 |
子どもを生み育てること |
1.9 |
身内の介護のこと |
6.6 |
自分自身の介護のこと |
7.9 |
収入や家計のこと |
11.8 |
生きがいや将来のこと |
5.0 |
日中ひとりでいること |
0.9 |
近所とのつきあいのこと |
1.4 |
緊急時の連絡のこと |
4.4 |
災害時の備えのこと |
10.9 |
住まいの確保のこと |
1.3 |
自宅周辺の環境衛生のこと |
2.6 |
人権問題に関すること |
0.4 |
特にない |
3.7 |
その他 |
0.3 |
本来は社会福祉を目的とした調査のため、福祉関連の回答項目が多いことには、留意する必要があるでしょう。
健康問題に不安を抱えている方が多く、収入や災害に対する不安がそれに続きます。興味深いのは、収入に不安を抱える方の割合が、それほど多くないことです(約12%)。平たく言えば、登別市民はお金にはあまり困っていないということでしょう。
正社員の割合が約20%という事実を加味して考慮すれば、登別においては「正社員でなくてもそれほど生活(収入・お金)には困らない」ことを示唆します。日本全国物価はほとんど同じですから、暮らしに不自由しない理由は別にあると考えるのが自然でしょう。
先ほどのアンケート結果から、20年以上登別に暮らす方の割合が約70%で、その多くは持ち家だろうと推測されます。
あくまで推論の域を出ませんが、持ち家(かつローンの支払いを終えている状態)なので毎月の家賃支出がない分、生活にはあまり困っていない登別市民が多いのかもしれません。