売却したい不動産で住宅ローンを組んでいる場合や不動産を担保にしたローンを組んでいる場合、不動産には「抵当権」が設定されています。
様々な理由で、住宅ローンや借入金の返済が完了する前に不動産を売却したい場合もありますよね。
そこで、抵当権が設定されている不動産の売却ができるのか、また、売却する場合の方法について詳しく解説していきます。
住宅ローンや借入金は残っているけれど、同じくらい貯蓄があり、既に手持ちの資金で借入金の返済ができる場合、先に住宅ローンや借入金をすべて返済してしまって不動産の売却を行うことができます。
例えば、借入金の返済間際や、住宅ローン控除などのためにあえて住宅ローンを組んでいる場合などにはこの状況に当てはまる可能性がありますね。
先に返済を行うことで、抵当権の抹消ができます。
そのため、抵当権が設定されていない不動産と同じように売却することができます。
住み替えなどで不動産の売却を検討されている場合、借入金があると、次の住宅ローンの借り入れが難しかったり、キャッシュフローとして厳しくなってしまう可能性があります。
次に住む家が決まっている場合は、先に返済をすべて終了させてしまうことで、心にゆとりを持って売却活動を行うことができます。
急いで売却をする必要がないため、じっくりと売却活動を行うことができます。
ほとんどの方が、手持ちの資金ですべての借入金を返済することができるというわけではありません。
例えば、マンションを35年ローンで購入して10年ほど経ち、戸建ての購入を検討しているような場合、残り25年分の借入金の残債を手持ち資金で一括で返済するのは難しいと思います。
まず、買主から売却金額を受け取り、金融機関に返済を行います。
次に金融機関から返済完了に伴い抵当権を抹消し、不動産の所有者の名義を買主の名前に変更する、という方法であれば、売却資金を住宅ローンの返済にあてることができます。
住み替え先の住宅の購入を既に決めている場合のことを、不動産用語では「買い先行」と呼びます。
他にも、実家に引っ越すことが決まっている方もこちらの状況が近くなると言えます。
先に引っ越しを終えることができるので、売却したい物件を空室にして売却することができます。
空室の状態で売却活動を行えることは売主にとって有利です。ただし、最大のデメリットは金銭面にあります。
特に、住み替え先の住宅でも住宅ローンを借り入れる予定の場合は、気を付けなくてはなりません。
売却が完了するまでの間、住み替え先の住宅のローンと売却したい物件の住宅ローンを二重で返済する期間が発生してしまいます。キャッシュフローとして問題ないか経済状況との相談が必要となります。
さらに、住み替え先の住宅ローンの借入可能額に、既に借りている住宅ローンの残債が影響を及ぼす可能性もあります。その場合は、自己資金の投入や、購入したい物件のグレードなどを下げる必要も出てきてしまいます。
また、買い先行と異なり、二重ローンを抱える心配がありませんので、日々のキャッシュフローには余裕があります。
売り急ぐ必要がなく、希望価格で売却できるまでゆっくりと待つことができるのも、メリットと言えるでしょう。
デメリットとしては、住宅の引き渡しまでに、次の住宅が決まらなかった際の「仮住まい」の費用が発生してしまう可能性があります。
仮住まいに一旦入る場合は、引っ越し費用が2回かかってしまいます。ウィークリーマンションや、賃貸物件を借りる必要もありますので、一時的な費用が余計にかかってしまいます。今回は抵当権がついた不動産の売却について解説しました。抵当権がついた不動産であっても、売却することができます。
不動産を手放したい理由は人それぞれです。まずは、自分がどのように売却を進めていきたいのか検討していきましょう。