No.01なぜ「売却価格」と「手取り」は違うのか?
不動産売却を検討し始めて最初に査定額を聞いたとき、多くの方が「これがまるまる手元に入る」とイメージされます。ですが実際には、売却価格から大きく3つのカテゴリのお金が差し引かれ、その残りが「手取り額」となります。
売却価格から差し引かれる3カテゴリ
この3カテゴリのうち、①諸経費と②税金は売却額や物件によってある程度予測できます。③のローン残債は個人差が大きいため、まずは①②をきちんと把握することが、現実的な手取り額を知る第一歩です。
No.02売却にかかるお金の全リスト【一覧表】
まずは全体像をつかんでいただくため、売却で発生しうるお金を一覧で整理します。「必ず発生する費目」「状況に応じて発生する費目」「税金」の3グループに分けています。
① 必ず発生する費目
| 費目 | 金額目安 | 支払先 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 | 不動産会社 |
| 印紙税(契約書) | 1万円〜6万円 | 国(印紙購入) |
| 抵当権抹消登記費用 | 1.5万円〜3万円 | 司法書士・法務局 |
| 住所変更登記費用 | 1.5万円前後 | 司法書士・法務局 |
| 住宅ローン繰上返済手数料 | 0〜5万円 | 金融機関 |
② 状況に応じて発生する費目
| 費目 | 金額目安 | 発生ケース |
|---|---|---|
| 境界確定測量 | 20万円〜80万円 | 境界が未確定の土地 |
| 未登記建物の表題登記 | 8万円〜15万円 | 増築部や車庫が未登記 |
| 建物解体費 | 戸建て120万円〜300万円 | 古家付き土地として売る場合 |
| 残置物処分費 | 5万円〜30万円 | 家具・家電を残して引き渡す |
| ハウスクリーニング | 5万円〜15万円 | 状態次第・内覧前後 |
| 税理士費用(確定申告) | 5万円〜10万円 | 譲渡所得の申告を依頼 |
③ 売却後にかかる税金
| 税目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡所得 × 約20〜39% | 所有期間・特例で変動 |
| 復興特別所得税 | 譲渡所得税 × 2.1% | 2037年まで |
No.03各費目の詳しい解説
3-1. 仲介手数料 ─ 売却諸経費の中で最大の項目
不動産会社に支払う成功報酬で、諸経費の中で最も大きな比重を占めるのがこの仲介手数料です。宅地建物取引業法で上限が定められており、計算式は以下のとおりです(売却価格400万円超の場合)。
仲介手数料の上限 = (売却価格 × 3% + 6万円) × 消費税10%
例:売却価格1,900万円の場合
→ (1,900万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 69.3万円
支払いタイミングは、売買契約締結時に半額、引き渡し時に残り半額というのが一般的です。なお、「上限」という言葉のとおり、これはあくまで法律で定められた天井であり、不動産会社によっては値引きや独自プランを設けている場合もあります。
3-2. 印紙税 ─ 売買契約書に貼る印紙代
売買契約書には収入印紙の貼付が必要です。金額は契約金額(売却価格)によって階段状に決まっており、2027年3月31日までは軽減措置が適用されています。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率(〜2027/3/31) |
|---|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
売主と買主の双方が契約書を1通ずつ保有する場合、それぞれが自分の契約書分の印紙を負担します。コピーを保管する形にすれば原本1通で済み、印紙税は折半にできます(実務では原本1通の運用が多いです)。
3-3. 抵当権抹消登記 ─ ローンが残っている方は必須
住宅ローンを組んだ際には、金融機関が物件に「抵当権」という担保権を設定しています。売却時にはこれを抹消する登記が必要となり、司法書士への報酬と登録免許税で合計1.5〜3万円程度かかります。
ローンを完済してから売却するか、売却代金で一括返済するかは状況次第ですが、いずれの場合も抹消登記は必要です。
3-4. 住所変更登記 ─ 引越し済みの方は要確認
不動産の登記簿上の住所と、現在の住民票上の住所が異なる場合、売却前に住所変更登記を行う必要があります。司法書士へ依頼すると1.5万円前後が目安です。
結婚や引越しなどで何度か住所が変わっている場合は、変更履歴を証明する書類(戸籍の附票など)が複数必要になることがあります。早めに法務局や司法書士へ確認しておくとスムーズです。
3-5. 境界測量・未登記建物の登記 ─ 土地・古い建物では要注意
土地の境界が明確になっていない場合は、隣地所有者立会いのもとで境界確定測量を行う必要があります。費用は20万円〜80万円ほどで、隣地の数や役所立会いの要否で大きく変動します。
また、増築部分や車庫、物置などが登記されていない場合、買主の住宅ローン審査で支障が出ることがあるため、表題登記(土地家屋調査士へ依頼/8万〜15万円)が必要となるケースがあります。
3-6. その他の費用 ─ ハウスクリーニング・残置物処分・税理士費用
これらは「必ずかかる」というよりも、物件状況や売主の方針によって発生する費目です。
- ハウスクリーニング:内覧前の印象アップや引渡し前の清掃に。戸建てで5万〜15万円が目安
- 残置物処分費:引越し後に残った家具・家電の処分。量によって5万〜30万円
- 税理士費用:譲渡所得の確定申告を依頼する場合。5万〜10万円が相場
- 解体費:古家を解体して更地で売る場合。木造戸建てで坪4万〜6万円が目安
No.04税金まわり ─ 譲渡所得税の基本
売却で利益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の3つが課税されます。逆に売却益が出なかった場合は原則として課税されません。
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
・取得費:購入時の代金、購入時の仲介手数料、登録免許税、リフォーム費用など
・譲渡費用:売却時の仲介手数料、印紙税、測量費、解体費など
この譲渡所得に対して税率がかかります。税率は所有期間によって2倍近く差が出るため、売却タイミングは重要な検討要素です。
所有期間で税率が大きく変わる
注意したいのは、所有期間の起点が「売却した年の1月1日時点」で判定される点です。たとえば2020年6月に購入した物件を2025年8月に売却した場合、購入から5年2ヶ月が経過していても、2025年1月1日時点では4年6ヶ月しか経過していないため、短期譲渡扱いになります。あと半年待てば税率が約半分になるケースもあるため、売却タイミングの判断には注意が必要です。
マイホーム売却なら3,000万円特別控除
自分が住んでいる家(居住用財産)を売却する場合、譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例があります。査定額が3,000万円以下のマイホームであれば、ほとんどのケースで譲渡所得税はゼロになる強力な特例です。
ただし、適用には条件があります。
- 自分が住んでいる家屋を売却すること(住まなくなって3年経過の年末まで猶予あり)
- 売却の前年・前々年に同じ特例を使っていないこと
- 親子・夫婦など特別な関係者への売却ではないこと
- 確定申告を行うこと(特例適用には申告が必須)
No.05【実例公開】築20年前後の戸建ての手取りシミュレーション
ここからは、実際に当社でお預かりした査定案件をベースに、リアルな数字で手取り額をシミュレーションしてみます。物件の特定情報は伏せていますが、金額の構造は実際の査定書そのままです。
- 所在
- 登別市内
- 築年
- 築20年前後
- 土地
- 約60坪
- 建物
- 木造2階・延床約35坪
- 権利関係
- 無担保・相続登記済
- 現況
- 所有者居住中
設備更新が新しく(暖房・給湯ボイラー、IHクッキングヒーターを直近で交換済)、買い手の入居後負担が小さい物件。査定価格レンジは1,750万円〜2,050万円、中心値約1,900万円で算定しました。
諸経費の内訳(売却価格1,900万円想定)
| 費目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | ▲69.3万円 | (1,900万円×3%+6万円)×消費税10% |
| 印紙税 | ▲1.0万円 | 1,000万超5,000万以下・軽減税率 |
| 境界確定測量 | ▲20.0万円 | 引渡しまでに必要なケース |
| 表題登記費用(未登記車庫) | ▲10.0万円 | 土地家屋調査士への依頼 |
| 住所変更登記 | ▲1.5万円 | 司法書士費用 |
| 諸経費 合計 | ▲約101.8万円 | 売却価格の約5.4% |
譲渡所得税は「ゼロ」になる見込み
この物件は所有者が長年居住しているマイホームのため、3,000万円特別控除が適用できる見込みです。売却価格1,900万円から取得費・譲渡費用を差し引いた譲渡所得は、3,000万円の枠内で完全に相殺されるため、譲渡所得税はゼロ円となります。
最終的な手取り見込み
結果として、売却価格1,900万円に対して、最終的な手取り額は約1,798万円。差し引かれる金額は約102万円(売却価格の約5.4%)となります。
No.06手取りを増やす5つの工夫
同じ物件・同じ売却価格でも、ちょっとした工夫で手取り額は変わってきます。当社が売主様に必ずお伝えしている5つのポイントをご紹介します。
① 取得費を証明する書類を集める
譲渡所得の計算では、取得費(購入時の代金・諸経費・リフォーム費用)が大きいほど課税対象が減ります。購入時の契約書、設備更新時の領収書、リフォーム工事の見積書など、過去の支出を証明する書類は徹底的に集めましょう。
特に相続物件の場合は、被相続人が保管していた書類が重要です。引越しや片付けの際に処分してしまわないよう、ご注意ください。
② 譲渡費用に算入できるものを忘れない
売却に伴って発生する以下の費用は、譲渡費用として課税対象から差し引けます。
- 仲介手数料・印紙税
- 境界確定測量費
- 解体費(更地として売却する場合)
- 立退料(賃借人がいた場合)
- 売買契約解除に伴う違約金
領収書は必ず保管しておきましょう。
③ 3,000万円特別控除など税制優遇を最大活用
マイホーム売却なら3,000万円特別控除、相続物件なら相続空き家の3,000万円特別控除、住み替えなら買い替え特例や譲渡損失の繰越控除など、状況に応じた特例が存在します。使える特例を知らないだけで、数十万円〜数百万円の差が出ることもあります。
④ 売却タイミングを考える
所有期間が5年を超えれば税率がほぼ半分になります。あと数ヶ月で長期譲渡になるという場合は、急がず待つことも選択肢です。一方で、市況や金利動向を踏まえると「待ちすぎ」もリスクになります。税率と相場の両方を見て判断するのがベストです。
⑤ 信頼できる不動産会社を選ぶ
仲介手数料そのものは法定の上限がありますが、「いくらで売れるか」は不動産会社の販売力で大きく変わります。価格交渉での粘り、買主の見極め、囲い込みをしない誠実な販売活動。これらは数十万円〜数百万円の手取りの差に直結します。
査定額の高さだけで会社を選ぶと、相場より高すぎる価格で売り出してしまい、結局値下げに応じざるを得なくなるケースもあります。査定額の「根拠」と「販売戦略の具体性」で判断するのが、手取りを最大化するコツです。
No.07先に「手取りの目安」を知るには
ご自身の物件で正確な手取り額を知るためには、まず査定額(売却見込み価格)を把握するのが第一歩です。当社では、目的や温度感に応じて3種類の査定方法をご用意しています。
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「3つの査定方法を比較」
AI査定・机上査定・訪問査定、それぞれの特徴と使い分け方を1ページで比較できます。「どの査定方法から始めればいいか分からない」という方は、まずこちらをご覧ください。
No.08よくある質問(FAQ)
売却益が出なかったら、税金はかかりませんか?
住宅ローンが残っていても売れますか?
仲介手数料は値引き交渉できますか?
相続した実家の取得費がわからないのですが?
手取り額が想定より少なくなりそうな時、どんな選択肢がありますか?
まとめ — 売却前に「手取り」を把握することが成功の第一歩
不動産売却で最も大切なのは、「いくらで売れるか」ではなく「いくら手元に残るか」を把握することです。本記事でご紹介したように、売却価格からは仲介手数料・印紙税・登記費用などの諸経費が差し引かれ、さらに譲渡所得があれば税金もかかります。
とはいえ、マイホームの売却であれば3,000万円特別控除をはじめとした強力な税制優遇が用意されており、適切に活用すれば譲渡所得税ゼロも十分に可能です。今回のシミュレーション事例でも、売却価格1,900万円に対して手取りは約1,798万円。差し引かれる金額は売却価格の5〜7%程度に収まるケースが多いです。
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